理事長所信

2020年度理事長
第51代理事長 菅原 正堯
【はじめに】
時の流れは、誰にも止めることができず、世の万物は絶えず移り変わってゆく定めにある。これは、仏教を所以(ゆえん)とする「諸行(しょぎょう)無常(むじょう)」という概念である。
人も悠久の時の流れの中に現れたと思えば、寸毫(すんごう)も留まることを許されず消えてゆく。
「人間(じんかん)50年、化天(げてん)のうちを比(くら)ぶれば、夢幻(ゆめまぼろし)の如(ごと)くなり一度生(ひとたびせい)を享(う)け、滅(めっ)せぬもののあるべきか」
中世に成立した「敦盛」の一節である。人間の50年間という時間は、仏教で定義する他世界では一瞬に過ぎず、一度生命を受ければ必ず死する運命であるとの意である。この文言(もんごん)に我々が持つ生命の意味を見出すことができる。
一瞬で滅してしまう宿命を背負うからこそ、人の生命は貴(たっと)いのである。
この一瞬を、貴(たっと)いものとして我々は生きるべきである。
物事が絶えず移ろうことを観念し、その移ろいを恐れず、気概を持ち、あらゆる物事を建設的方角へ進展させていくことが命を持つ我々の使命である。
個人・公の福利が、互いに干渉することなく、大いに達成される環境が整えば明るい豊かな社会が実現される。
【現状と展望】
奥州地域も超少子高齢化が急速に進む。奥州市の人口は10年後の2030年、10万人を切ると予想されている(奥州市統計書)。高齢化率は38%を超える予想であり、人口減少に拍車がかかれば、需要の減少から所得額も今後減額していく。
この地域における経済規模の加速的な縮小が起こる。
しかし、この地域の青年が高い志をもち、地域とのつながりを大切にし、希望を持てる地域を創ろうとする意思がある限り、必ず地域はより良い方角へ進んで行く。
このような青年を増やす為に、江刺青年会議所の今までの実績と、これからの活動を大いに広めていくことが重要である。
【江刺青年会議所創始の理念】
1970年「過疎からの脱却」を合言葉とし「江刺を拓くわれらの一歩」をスローガンに江刺青年会議所は誕生した。
江刺地域において人材教育を半世紀に渡り実施し、熱い思いと行動力を持った人財を多数生み出したる結果となったことは周知の事実であり、この地域の政治・経済・文化に多大なる影響を与え続けてきた。
今、51年目を迎えるに当たり、江刺青年会議所創始の理念「厳しい自覚と社会正義」を再び掲げ、再定義を施し、今後50年の嚆矢(こうし)とする。
「厳しい自覚」とは、厳格に自らの立場と役割を鑑みる態度と覚悟である。
「社会正義」とは、希望を見出せる真の地域の姿である。
この二カ条を胸に刻み、青年会議所活動に邁進していく。
【江刺青年会議所の財産】
我々江刺青年会議所会員も常に学び、自らの能力を向上させていく必要がある。各々のキャリアアップを図り、営業拡大、新事業への参入や、昇進に貪欲に考えてほしい。
江刺青年会議所会員一人ひとりが人間的にも経済的にも必ずや大いに輝かなければならない。
青年会議所のネットワークには、多数の異業種メンバーが存在し、自由に繋がることができる。このことを徹底的に活用する事により、自分の能力向上や、新規事業や、事業拡大と、さまざまな状況で生かされるはずである。
青年会議所活動を通じて、艱難(かんなん)辛苦(しんく)を共にしたメンバーはLOMや地域を超え、強靭(きょうじん)な繋がりとなり、一生の財産となる。 また、江刺青年会議所は50年に渡り様々な活動を通じ、各種団体との連携も大切にしてきた。そのような繋がりは江刺地域に独自の環境を創出し、今ではかけがえのない貴重な財産となっている。
【人材を広く求め、人財とすること】
人材の枯渇(こかつ)、即(すなわ)ち組織の滅亡を意味する。
人材を無駄に消耗させないこと、人材を限定条件付きで求めないこと、組織内で切磋琢磨し、人財とすることの三つが肝要である。
先の大戦では、人材の枯渇(こかつ)、消耗(しょうもう)激(はげ)しく、敗戦の憂(う)き目を見た。我が国日本は、鉱山資源は無いに等しい。しかし、限られた人的資源を有効活用する事により、戦後の復興を成し遂げ、経済大国となった。
これから先、人的資源が加速的に減少していく。国の興亡に関わる一大事である。
江刺青年会議所は、今日まで求める人材の裾野(すその)を広げてきた。その裾野(すその)を更に広げ、江刺青年会議所独自の環境の元、人財を創りだしていく過程を継続していく必要がある。
【地域に住まう青少年へのキャリア教育】
キャリアとは人の生き様である。
地域にて経済活動を行う我々が、この地域の青少年の為に、キャリア教育の一端を担わなければならない。まずは、我々がキャリア教育そのものを学ぶ機会が必要であり、よく理解することが急務である。
その後、教育機関と協力し、児童生徒と直接触れ合い、児童生徒の質問に真摯に答え、児童生徒のキャリアがどうすれば達成されるかを真面目に議論する必要がある。これにより、児童生徒が自らの目標達成に希望を得ることとなる。
【「自分たちのまちは自分たちでつくる」と若者が思える土壌づくり】
江刺青年会議所の継続事業であるOne Love フェスタは、地域の若者達がまちを盛り上げ、「自分たちのまちは自分たちでつくる」という思いを醸成する素晴らしい事業である。
地域で活動している若者達に活躍する場を提供することが第一である。
また、この事業を地域の子ども達と、青年会議所メンバーが協力して創り上げることが、まちづくりに良好なる結果をもたらす。地域の子ども達、若者達、青年会議所メンバーという、この地域の若いパワーが繋がる素晴らしい機会を創出することが必要とされる。
地域の子ども達、地域の若者達に、「自分たちのまちは自分たちでつくる」という思いを醸成していく事業を実施していく。
【防災と減災】
近年、日本列島を未曾有の災害が度々襲う。自然の猛威に対して、我々は対抗しうる力を持たない。
防災と減災に心を置く事が、今後は益々必要とされる。日々の備えを怠らないように努めなくてはならない。
奥州江刺地域は災害に見舞われながらも、壊滅的大損害を被ることが比較的に少ない。我々は、これに慢心してはならない。
東日本大震災の折、江刺青年会議所は沿岸地域支援に全力を尽くした経緯がある。周辺地域が大災害に見舞われた際に、江刺青年会議所が迅速、円滑に支援活動を行えるように備える必要がある。
【終わりに】
江刺青年会議所は50年間の長きに渡り、この地域の発展に寄与してきた。時代は令和に移り、未来は混沌としている。だからこそ、この地に住む我々が創始の理念を再び掲げ、突き進んで行くのである。
素晴らしい仲間、輝いている仲間、江刺青年会議所は正に一騎当千の仲間達が集っている。また、才覚と魅力溢れる先輩諸兄が、いつも我々のことを気にかけ、我々の気持ちを鼓舞してくださる。地域の皆様にも、たくさんの御支えをいただいている。
これほどまでに、恵まれた組織が在ろうか。これほどまでに幸せな組織が在ろうか。江刺青年会議所で活動できる機会を賜ったことは無上の喜びであり、正に感激の極みである。これ以上の言葉で言い表す術を私は持たない。
この感激から込み上がる熱量を原動力とし、江刺青年会議所51年目の運動を展開して参ります。
覚悟と希望 我ら新時代の嚆矢とならん
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1、経営力拡大委員会・青年会議所メンバーに対するキャリアアップ及び資質向上に資する例会企画運営・PCスキル向上と法務・財務知識を深める例会の企画実施
- 2、会員拡大会議・青年会議所入会の可能性別資料を作成・江刺JC独自研修プログラムの提案
- 3、青少年育成委員会・青年会議所会員がキャリア教育を学ぶ機会の創出・青年会議所メンバーが中学生に対しキャリア教育の一端を助ける事業の企画運営・小学生の職業体験事業の企画立案と実施
- 4、まちづくり委員会・地域の若者達と地域生徒が参画する「One Love フェスタ」の実施・防災と減災に関して江刺青年会議所の実績とこれからの備え
- 5、事務局・財政局・例会、総会、理事会運営と各種事業の会計と法務・対外への広報活動、マスコミを活用した宣伝