理事長所信

2019年度理事長
第50代理事長 司東 隆光
【はじめに】
「あなたの夢は何ですか?」
そう聞かれた時、すぐに明確に答えられるでしょうか。
勿論、一日一日の積み重ねも大切ですが、1年後・3年後・5年後・10年後の 自分は、どの様な人間になっているのだろうか。どの様な人間になっていたいのだろうか。
会社は、どの様になっているのだろうか。どの様な組織で働きどの様な仕事をしたいのだろうか。
家族は、どの様になっているのだろうか。どの様な家庭を築きたいのだろうか。
自分の暮らす地域は?会社の業界は? と、様々な未来を想像し、自分が進むべき道を見据え、自分の弱みを改善しようとする努力、自分の強みを活かそうとする日々を送れていますか。
「あなたは、40代、50代 何のために、誰のために、何をしたいのですか?」
その答えが少しでも見えた時、30代での生き方は必ず変わります。
今やらなければならないことがあります。直ぐにやった方が効果の大きいこともあります。
理想の未来へ自分が近づけていくしか、自分の周りの未来は変わりません。
考え方が変わり、動き方が変わると、生き方そのものが変わります。自分の会社、家族、地域の後継者である誇りと覚悟を持って、現状の課題・あるべき姿・目指すべき姿を明確にして様々なことを考え行動することが、自分の会社、家族、地域の明るい未来に必ずつながるのです。
私たち一人ひとりが地域に必要とされる人材になること、私たちより若い世代に夢や希望を持たせら れる組織であること、この2点を重要視し江刺青年会議所2019年度の運動活動を展開していきます。
【全ては感謝から、地域へ未来での恩返しを】
私たちが今生きているのは、自分一人だけの力ではありません。生まれる前から脈々と伝わってきた家族や親族、地域の方など多くの方々のおかげさまで生かされてきたのです。
そして今も多くの人の支えがあるからこそ、この地で今暮らすことが出来るのです。
これは絶対に忘れてはいけません。
全ては感謝から。過去にこの地域の人から受けた恩と今一瞬一瞬を支えて下さっている人に対して感謝し、恩返しをするんだ、という強い気持ち、これが私たちの日々生きる原動力になるのです。
<自己成長が恩返しの基本、その近道は実践のみ> 地域に必要とされる人材となるには、まずは自分のことは自らでなし得る力が必要です。
その自力を向上させることがなければ、他人や地域に大きな力を与えることはできません。まずは、自ら成長の機会を求め、様々な分野での見識を広めていくことが不可欠です。しかし、見識を持っているだけでは成功はありません。
見識を持って自らがより良いものをと考え、様々なことにチャレンジしていく、その行動こそが自己成長につながるのです。本気になったものには何度でも自分に限界を決めず取組む経験、より高い壁を乗り越えようとすればするほど、これらから得るものは大きくなるのです。
青年会議所運動や活動の中では、一見は自分の本業につながらないかもしれないことにでも、自分事にとらえ様々な事業を構築することで、視野を広げると共に経営資源の動かし方など必ずや本業にも通じる学びを得ることができます。創立50周年事業や岩手ブロック大会主管も活かしながら、地域へ献身的に活動する事業や各例会を契機にメンバーの自力向上につなげています。
【今置かれた状況と私たちが出来ること】
江刺地域は1960年代から人口減少が始まり、過疎化・少子高齢化が進んできました。平成年代の30年間、奥州管内で生まれ育つ子供の数は減少し続け、児童数は平成元年対比5割切れも見えてきています。管内で育った子ども達の高校卒業時の社会的人口流出は4割以上、高等教育卒業後20代でのUターン就職もその半分以下であり、子育て世代の人口減少と非婚晩婚化が拍車をかけこの様な状況が生まれています。しかも、ここ数年でこの状況の劇的な改善はまず有り得ません。
また、人口減少が進むことでこの地域を循環する消費が今後縮小傾向となることは間違いありません。 これらはこの地域で暮らすものであれば、受け入れなければならない現実であります。この流れを緩やかにするには官民や各界一体の取り組みが必要です。
私は、高校卒業時に市外県外に居を移すことは仕方ないことと考えます。むしろ、若いうちにしっかりと夢や希望を持って他の街に出て、たくさんの刺激を受けて欲しいと考えます。
私たちが出来る若者の人口流出対策は、この地で育つ子ども達が市外県外に居を移しても、戻って来たくなるまちづくりと雇用づくりだと考えます。
【子ども達の夢と希望が未来を創る】
戻って来たくなるまちづくりは、子ども達にいかにふるさとへの愛郷心の持ってもらうかが重要です。元来この地域に暮らす人々には、結の精神やふるさとを思う心が強く根付いています。ふるさとを思う心は、子ども達に地域の歴史伝統を継承すると共に、幼少期に地域の仲間と様々な体験をさせられているか、魅力的な大人と出会う場面を創出出来ているかが肝心だと考えます。
今年度の社会開発事業は子育て世代と子どもの交流の場となる事業を目指します。その中で、ふるさとに伝わる歴史、伝統や当地域ならではの資源に触れ、子ども達がみんなでやったぞ!という達成感を得られる機会を提供します。
実体験こそが10年後20年後、ふるさとに心を寄せる一助、そして将来夢や希望を抱く一助になるのです。
【豊かさを求める人材開発】
戻ってきたくなる雇用づくりは、この地特有の地域資源を活用し、働き甲斐のある仕事を産み出すことです。そして、子ども達が地元で将来働く選択の一助となるよう、子育て世代は地方で活き活きと働く姿を子ども達に見せることが求められます。
明るい豊かな社会の実現を目指す私たちにとって様々な観点の豊かさはありますが、資本主義の経済社会で暮らす私たちは、働き甲斐と同時に、金銭的な豊かさも追求していく必要があります。特にも、あと数十年先も働く私たち世代は、商圏や事業の拡大も視野に地域の経済活動の好循環を創り出していくことが求められます。
そのためにも私たちは、都会の大企業だから出来ることすべきこと、地方の中小零細企業が出来ることすべきことを明確にした経営戦略を定め、雇用創出に向けた自社経営の向上のために、各地青年会議所に在籍する多種多様な青年経済人と交流が出来る環境を十分に活かしていくべきです。
今年度の人材開発事業では、社会変化にも対応できる業務や未来永劫続く仕事を構築していける人材をこの地に増やしていくため、販売促進力「稼ぐ力」向上に向け市民と共にマーケティング力・商品サービス開発力・ブランディング力・広報力・営業力など様々な要素の見識を広める機会を提供します。
【求められる若者間の共創】
人口減少が進むこの地域は暗い未来が待っているのか、それは全く別の話です。この地域は全国全世界に発信のできる魅力溢れる地域資源が沢山あります。そして、目には見えない無形の資源が沢山あるのです。住む人の心の温かさ、ふるさとに対する愛郷心、世代を超えた人のつながりなど、この地に暮らす一人ひとりが地域の宝なのです。有形の地域資源は残念ながら、他のまちにも似たものがごまんとあります。他に負けない地域資源を創りあげるならば、圧倒的に何かを極めるのか、類似のものと明確な差別化を図る工夫が必要です。
工夫というのは知恵です。三人寄れば文殊の知恵というように、人と人のつながりによって新しい見識を見つける可能性が高まるのです。経済活動において、人のつながりは地域資源の継承、発展、創造の可能性を広げます。
そして、開催年度を重ねるにつれて熟成され「OneLove(フェスタ・タウン)事業」は、この地域に根差した事業となっております。行政、地域、市民、未来の子供たちの繋がりを求め、「市民主体型社会開発事業」「青少年育成事業」の必要性を訴え、地域の問題点に対し効果的な事業の開催は、我々青年会議所の責務であります。
このまちの誇れる伝統芸能などの文化、人間性などは、各地域活動が下支えとなり発展継承されてきました。目には見えない資源の後継者でもある私たちが、これらを守り発展させ地域に貢献するならば、まずは自身が献身的に地域活動に参画することが重要です。
地域活動も経済活動も最後は『人と人のつながり』が生きてくるのです。私たちは、地域資源を発展、創造させ次の世代に継承していくため、人と人のつながりを創出していかなければなりません。これは実際に会い何かを共に創りあげる活動を通じるところから生まれるものと考えています。
【組織運営と持続可能な経営資源を考える】
組織が持続するには何が大切なのか。どのような組織であれ経営を維持していくためには、社会情勢や今後の社会環境の変化を考え、定められた規則の中で時代に応じ体系の変化は求められます。そして、組織として目指すべき姿や将来の見通しを考え、その中で構成員の間や他組織との関係、組織経営資源の管理を行うことが組織の持続可能性を高めるものと考えます。
どの様な組織でも、リーダーは様々な場面で中長期的な経営ビジョン策定やその時々で経営判断が求められます。将来様々な組織の後継者となる私たちは、青年会議所での経験をもとに、持続可能性の高い組織を運営する能力や経営資源を活用する能力を養っていく必要があります。
江刺青年会議所という組織に目を向けた時、創立50周年を契機に将来の方向性を見定める時期でもありますが、単年度制の連続である組織体系の中、中長期的な経営計画が簡単に立つものとは思っていません。しかし、誰のために何のために組織として運動活動を展開していくのか、これをメンバーが共有することは必要です。まずは、組織の向かうべき方向性を共有すべくメンバー間コミュニケーションが円滑である組織運営を目指します。
【江刺青年会議所の次の半世紀の礎は】
江刺青年会議所は1970年「過疎からの脱却」を合言葉、「江刺を拓くわれらの一歩」をスローガンに産声を上げ、半世紀の歴史を紡いできました。その中では、次の世代に「えさし」ブランドを継承しよう、地域の子ども達に郷土愛を持ってもらおう、という事業が継続的に行われてきました。これらの諸先輩方の運動活動の歴史があるからこそ、私たちがこの地で生業を持ち生活ができる環境があります。
創立50周年という節目の年にあたり、まず私たちは諸先輩方の活動に敬意と感謝の気持ちを持ち、この地の半世紀後の展望を考え、25年後の時代を見越し、10年後5年後を見定めていくことが求められます。私たち子育て世代がより若い世代に何を残せるか、この地域の利になることを考え、行動実践することが私たちの役割です。
今後の江刺青年会議所の在り方を市民に示すことが、諸先輩方への敬意を表すると共に、私たちの活動の本質が次の世代に受け継がれるものと考えます。若い世代を中心に市民参加が出来る事業を継続してきた江刺ならでは50周年記念事業の構築を目指します。
【青年会議所だからできることを次の世代に】
私たちは、今の生活を支えてくれる人や今暮らすまちへの奉仕の機会、自己成長への修練の機会を活かし、我々はこの地を牽引する次世代リーダーとして成長していかなければなりません。
しかし、この活動には限りがあります。私たちは、より若い世代に夢や希望を与える存在となり次の世代の後継者を育成していく必要があります。まずは、青年会議所という枠にとらわれず、この街のためにという郷土愛を持った20代と手を取り合い各事業を推進し、若者のチャレンジも支えていきます
若い世代が持つ力が地域に向けられ一つになった時、この街の未来が本当に明るくなるのです。そして若い世代の地域活動への参画は私たちの運動活動の事業持続性も高まり、会員拡大にもつながってきます。
【13年に一度のチャンスを活かす】
私たちは2019年度、岩手県内の13青年会議所の連携組織である岩手ブロック協議会の最大の運動の発信の場である「岩手ブロック大会(旧 会員大会)」の 4 度目の主管を控えています。
県内約500名の同志が江刺の地に一堂に会す13年に一度しかない大会で、岩手県内各地で様々な分野で活躍する多くの同志に江刺まで足を運んでいただけるのです。まずは、岩手ブロック協議会と連携し私たちそして多くの同志にも価値ある大会にすべく、多くの市民に参加してもらう企画や広報を進める役割を果たさなければなりません。運営面では、多くの市民にも協力してもらう必要があります。そのため参画する市民のメリットも考え関係者と協議を進めていかなければなりません。
しかしそれ以上に大切なことは、私たちが愛する地域の良さや宝を市内外の人々に伝えたい、体感いただきたい、それをこの大会を通じて実現するのだ、という強い信念を持つことです。その信念をこの地で暮らす若者を中心とした市民に共感いただくことが出来れば、参加そして参画していただける市民が増え、この大会を主管する価値がより確固たるものになります。そして、その活動こそが私たち自身そして江刺地域の利益に必ずやつながっていきます。
【最後に】
江刺青年会議所は地域に必要とされる団体になっているでしょうか。
地域課題を解決できる運動活動を出来る団体となるのが理想ですが、たった1回、たった1年の運動活動だけで地域に大きな影響を与えることはなかなか出来ません。
私が目指したい江刺青年会議所は、卒業後も会社や地域活動を牽引し、多くの人から必要とされる人材が巣立っていくことです。
私たちが地域のために、地域の人のためにと思いを持って青年らしく事業を企画運営する姿を誰かが見て、自分も何かしようと心動く人がいたとしたら、このまちで暮らす人の未来への第一歩となっているのです。その様に人の心を動かせる人材が育つ組織は、地域になくてはならない強い存在です。
「あなたの夢は何ですか?」
「あなたは、40代、50代 何のために、誰のために、何をしたいのですか?」
青年会議所は人生最後の学び舎と言われています。 その所以を、自分の家族や会社の事は勿論、地域のことも自分事として本気で考え組織として行動する経験とその苦楽を共にした仲間が貴重な財産となり、今まで知らなかった知識の発見、新たな自分自身や仲間と出会いがある組織であるからだと私は考えます。
青年らしく今しかできないことがある。 本気で乗り越えようとし、やりきった時にしか見えない景色がある。 自分たちの未来は自分たちでしか変えられない。
感謝しよう!今置かれた環境に 共創しよう!多くの若者の郷土愛で
工夫しよう!自己成長への究竟を 経験しよう!地域社会への献身を
考動しよう!未来を拓く後継者にむけて
-
1、青少年育成委員会・ふるさとと仲間を大切に出来る思い出創りの場を提供・他組織と連携した青少年育成事業の企画運営
- 2、稼ぐ力向上委員会・自社の強み弱み調査と人口推計にみる業界展望の研究・販売促進などの経済活動に役立つ知識を習得する例会の企画運営
- 3、地域連携委員会・青年層が自分たちの地域を見直すきっかけとなる例会の企画運営・地域の宝を市内外に魅せる市民共創事業の構築
- 4、事務局・例会、総会、理事会の円滑運営と各種事業の会計管理 ・対外広報の強化と円滑な対内コミュニケーションの構築・持続可能性を高める組織運営力強化に向けた例会の企画運営
- 5、50周年実行委員会・今後の活動指針の策定と50周年記念各事業の立案と実施・市民参加型50周年記念事業の企画
- 6、若者交流対策室・各委員会と連携し20代の事業参加を高める取組み・会員拡大に向けた取組み
- 7、ブロック大会対策室・第49回岩手ブロック大会in江刺の主管対応・市民参画型第49回岩手ブロック大会in江刺の企画運営